近江に高田善右衞門といふ商人がありました。十七歳の時、自分ではたらいて家をおこさうと思ひ立ちました。父からわづかの金をもらひ、それをもとでにして、とうしんとかさを買入れ、遠いところまで商売にでかけました。道にはけはしい山さかが多かったので、善右衞門はかさばつた荷物をかついで登るのに、大そうなんぎをしていましたが、片荷づつはこび上げて、やうやう山をこえたこともありました。又時々はさびしい野原を通って、村々をまわつてあるき雨が降っても、風が吹いても、休まずにはたらいたので、わづかのもとでで多くの利益をえました。
その後呉服類を仕入れて方々に売りあるきました。いつも正直で、けんやくで、商売に勉強しましたから、だんだんと、りつぱな商人になりました。
尋常小学校終身書 第四月第十三
教育勅語と並ぶものとして道徳を教えるのが修身書。
なくす必要はなかったと思います。
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