2011年1月6日木曜日

五箇条の御誓文

「五箇条の御誓文」が出されたのは1868年の3月。同じ年に明治元年となりました。
現代の日本人の多くが憲法というと日本国憲法をイメージしてしまいがちですが、英国のように憲法を成文化していない国もあります。
憲法という法はその国々に固有の規範を表したもので、日本では遠い昔の天皇の詔勅を含み、これまでに蓄積されたルールの総体=憲法総体が憲法です。ですので、ある日突然、多数決で「こういう憲法を作ろう」という話にはなかなかなりません。国民主権と呼ばれているようなもの=今生きている選挙権を持つ人だけの多数決で、これまでに蓄積されたルールを変えてしまうのは、一種の革命のようにも見えます。

その憲法総体の一部にこの「五箇条の御誓文」があります。

原文

「五箇条の御誓文」(慶応4年3月14日)

一 広ク会議ヲ興(おこ)シ万機公論(ばんきこうろん)ニ決スベシ
一 上下(しょうか)心ヲ一(ひとつ)ニシテ盛ニ経綸(けいりん)ヲ行フベシ
一 官武一途庶民ニ至ル迄各其(おのおの)志ヲ遂ゲ人心ヲシテ倦(う)マザラシメン事ヲ要ス
一 旧来ノ陋習(ろうしゅう)を破リ天地ノ公道ニ基クベシ
一 智識ヲ世界ニ求メ大ニ皇基(こうき)ヲ振起(しんき)スベシ

我国未曾有ノ改革ヲ為(なさ)ントシ 朕躬(ちんみ)ヲ以テ衆ニ先シ 天地神明ニ誓ヒ 大ニ斯(この)国是(こくぜ)ヲ定メ万民保全ノ道ヲ立ントス 衆亦(また)此(この)旨趣ニ基キ共心努力セヨ



何事も公の議論によって決めましょう、立場の上下に関係なく心を1つにして活動しましょう、役人も侍も庶民も団結してそれぞれの志をまっとうしましょう、古くからのしきたりに囚われずに普遍の道理に基づいて行動しましょう、広い視野を持って国を発展させましょう。
だいたい、こんな意味じゃないかと思います。

締めくくりの文章は、天皇が率先して、天地に誓って国の方針を定め万民の保全を行い、みんなもこの趣旨に則って頑張って欲しい、というような意味になると思います。

ちなみに冒頭の「公論」というのは「知恵を出し合って最良の道を共に探る」ということで、十七条の憲法の最後にあるような思想が原点かもしれません。

十七に曰わく、それ事(こと)は独(ひと)り断(さだ)むべからず。必ず衆とともによろしく論(あげつら)うべし。少事はこれ軽(かろ)し。必ずしも衆とすべからず。ただ大事を論うに逮(およ)びては、もしは失(あやまち)あらんことを疑う。故(ゆえ)に、衆とともに相弁(あいわきま)うるときは、辞(ことば)すなわち理(ことわり)を得ん。

物事は一人で判断してはいけない。必ずみんな話し合って判断しよう。大事なことは判断を誤るかもしれないが、そういうときこそみんなで議論しよう。そうすれば道理にかなう結論が得られる。
そんな意味でしょうか。

最近は尖閣諸島などの領土問題や拉致問題など、外国からの攻撃が絶えることがありません。
少なからず憲法に関する論議が起きてくると思いますが、こうした過去の日本人の考え方を学びながら、日本らしいやり方で問題を解決していきたいものです。

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