2011年3月1日火曜日

自尊自立のための家庭の医学 番外編2 コレラ菌を飲んだ人ペッテンコーフェル

 自尊自立のための家庭の医学 番外編1「パスツールとビシャンプ」 が予想外に?御好評でしたので、もう一つ感染症の原因についての興味深いお話をご紹介します。

炭疽菌、結核菌、コレラ菌の発見者であるドイツの医師・細菌学者ロベルト・コッホはパスツールと並んで「近代細菌学の開祖」といわれています。

コッホは、結核は結核菌が、コレラはコレラ菌が原因で起こる、
ゆえに当然、コレラはコレラ菌に感染することで発症すると言いました。(「病原微生物説」「外部病原説」)

しかし「外部病原説」に対し、フランスの生理学者ベルナール
「病気は外部から侵入することによってではなく、私たち自身の内部にその原因がある、健康は内部環境のバランスによる」
という「内部環境説」を唱えました。
ベルナールは、病気は医学的な問題ではなく、社会的な問題であり、病気の治療よりも予防することが最良だ、と考えていたそうです。

そしてベルリン大学の衛生学の教授ペッテンコーフェルはコレラ菌に感染してもコレラを発症するとは限らないと反論しました。
ペッテンコーフェルはパスツールやコッホの説を否定し、「細菌による病気でも、その発病には環境や個人的な因子が関わっている」
と主張しました。

ペッテンコーフェルはそれを証明する為に、1982年の学会でコッホが作ったコレラ菌の培養液を飲み干したというのです。
しかもご丁寧に、コレラ菌が胃の中の強い酸で死なないように、酸を中和する液体(重曹水だったと言われています)をあらかじめ飲むという念の入れようでした。
コレラを発症すると死に至ります。大量のコレラ菌を飲んだペッテンコーフェルも死んでしまうはずでした。
しかし彼は数日間下痢を起こしただけで、その後回復し死ぬことはありませんでした。
コレラでは激しい下痢とともにひどい脱水症状が起こるそうですが、脱水症状は起こさなかったそうです。また彼の弟子であったエンメリッヒもコレラ菌を飲み干しましたが、死ぬことはなかったようです。

命がけの実験ですが、ペッテンコーフェルには強い確信があったのだと思います。
そういえば、ペッテンコーフェルを地で行くような人を知っているなぁ(笑)。。。
世間一般の常識にとらわれ過ぎないこと、自分の内にあるものを発見すること、信じること。こういうのが直観力といえるのかもしれません。常識というものにとらわれ過ぎると先入観や偏見が生まれ、新しいアイデアや発見を見逃してしまうかもしれませんね。直観と洞察、大切にしたいものです。

このことから、やはり?どうも?
体内にコレラ菌が入ったからといってコレラにかかるとは限らないという説に軍配が上がりそうな気がしてきますがいかがでしょうか。
しかし我々人類はパスツールの方を選んだのでしたね。
そして抗生物質や抗ガン剤といった、外部の要因を悪として、悪と戦うということで「抗○○薬」などという名前のお薬を飲んで治療としている訳です。

しかし「外部病原説」を唱えた当のパスツールも死を迎えるとき、このように言ったそうです。

病原体はなんでもない。すなわち地球がすべてである。

地球=環境

ここで「地球」と訳されているフランス語の単語は teriain 。
これは「環境」という意味にもとることが出来るそうです。
もしあなたの外部環境が健全であれば、そしてあなたの身体がよく耕された土壌の様に十分に栄養をとっていれば、あなたの体は病原菌に充分抵抗できる、と。

 
私個人としては、「あれがダメ」、「これがダメ」、「こうでなければならない」、「こうしないとこういう風に悪くなりますよ」・・・etc
いくら体に良いこと正しいことでも、こういう言い方をしてしまえば、アロパシーの考え方と同じ、善と悪に分けて悪を叩く、と同じような気がします。
分かってても出来ない、やめられないというのも病みのひとつかもしれません。
いくら体に良いことでも病人を咎めることは思いやりとはいえない気がします。
あれが悪いこれが悪い、これが出来ていない・・・そういうことが自然と気にならなることが健康かなぁと。
そんなわけで、皆様も頑張れないとき、分かっててもやめられない時、どうかご自分に優しくしてあげて下さい。



4 件のコメント:

wakaki さんのコメント...

凄くわかりやすいお話でした。
しかしまさかペスト菌飲んでも体さえしっかりしていれば大丈夫とは!!
やはり免疫力を鍛える事が何よりの予防なのですね。

花粉症治した方もいらっしゃる事ですし、頑張ってみようかなあ。

匿名 さんのコメント...

毎回このシリーズは大変興味深く読ませて頂いております。
病気の原因を外部に探し、殲滅させることを目的とする医療だけでは、説明のつかない事が沢山ありますね。
人の体というのは、本当に不思議な物です。

Love Nippon さんのコメント...

わかっちゃいるけどやめられない!
そんなことはたくさんありますね。
これは生き方の問題でもあると思います。自然に逆らわないというか、自然と対話するというか、人体も自然の一部なので対話をしながらうまく付き合って行く。そういうことなんだと思います。

koe さんのコメント...

wakaki様
ありがとうございます。たぶん空気中や体内のばい菌さんが目に見えたら卒倒しそうになるかも~?と思うんですよね。でも、そしたら案外これがホントだって分かるのかもしれません。。

匿名様
ありがとうございます。そうですね、本当に不思議なんですよね。同じ病気になっても人によって反応が違うのが当たり前かもしれない。なぜなら、抱えている問題がそれぞれ違うから、そこが重要なんだと最近思います。

Love Nippon様
ありがとうございます。まさに仰る通り、生き方の問題なのですよね。病気になれば素直になれます。だから有難いということなんです(笑)