2011年5月14日土曜日

室内でも農業を

津波や福島第一原子力発電所の事故による放射性物質の大量拡散によって、被災地の農業を大きな打撃を受けました。農家のみなさんは、耕作ができない、耕作ができても放射性物質が検出されて出荷できない、あるいは風評被害によって売れない、といった悩みを抱えてしまいました。

日本はフードマイレージが世界最悪の数値です。遠くで(外国で)作られた農作物を、たくさんの石油を使って輸入し、いくつもの段階を経由して手に入れています。そして、流通と消費の段階でたくさん捨てている。
もったいない話ですね。

しばしば「捨てるのはもったいない」と教えましょうという声を聞きますが、「捨てるものは作らない」とした仕組みが必要なのではないかと思います。
必要なだけ作る、そのためには流通経路を短くする、自分で作るといった方向に向かうのが良いのではないかと思います。
「自給率の向上」「地産地消」「自産自消」「農産物の貿易の縮小」というキーワードが出てくるでしょうか。

今日ご紹介するのは、都内のある企業です。
社内でチームを作り、室内で農作物を栽培しています。


これはキノコを栽培している一角。
天井には光の量を調整する電灯が設置され、定期的に噴霧器のようなもので水を供給していました。
電気を使っていますが、その電力をどうやって供給しているかはわかりませんが、電力を自然エネルギーにできればいいですね。


壁面にはパッションフルーツ(?)。
打ち合わせのテーブルや部門の仕切りを利用するなどして、このように作物を栽培することができます。
天井に網状の棚を作ってやることもできます。


打ち合わせスペースの椅子の下。引き出しが設けられていての、その中で発芽をさせます。


そして水田です。年に3回収穫しているそうです。
この他にも、発芽用の専用室のような部屋もありました。

実際に自給自足をしようと思ったら、とてもこのスペースでは足りませんし、水や電力の供給に石油や原子力などのエネルギーを使ってしまえば、あまり意味はありませんが、室内栽培の良いところは、作物を食べてしまう虫の侵入がないために農薬を使用しなくてもよいことです。

どこの会社でも、このような施設や設備を持つことはできないでしょう。しかし、工夫すればできることもあるかもしれません。大事なのはやることではないでしょうか?
アイデアを出して、やってみて、改善して。楽しいことだと思います。

家庭でやるなら、壁面を利用した花壇のようにして作物を育てることができます。
温室を作るならば、室内の日当りの良い場所に苗を置いたり、ビニールシートで囲ってペットボトルや発酵熱を利用して温度を維持することもできます。
水は雨水を利用する。簡単な雨水用のタンクなら作れますね。

放射性物質の拡散は各地で観測され、事故があった原子力発電所から遠く離れた地域で作物から基準値を上回る放射性物質が検出されています。
植物や細菌を使って放射性物質を吸収する方法、チップや炭を使って浄化する方法などもあるようです。

事故や災害、気候変動、戦争や紛争、されにそれらの結果としての政治的な失敗。
あらゆる出来事が、私たちの食を脅かす要因です。
今回の原子力発電所の事故は、それらが重なって起きた一つの教訓だと捉えることができます。

何かに誰かに依存している状態では、それが被害を受ければ即危機となります。
依存ではなく自立。
自立のための自給。
私たち自身のこととして、私たちの家族のこととして、私たちの地域のこととして、そのことを考えていかなければならないと思います。
子孫繁栄があっての国防です。

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