2012年2月25日土曜日

保守思想入門(1)

 こんばんは。今日から『大日本帝国憲法入門』と併行して、『保守思想入門』をスタートさせることに致しました。(・ω・)ノ

 「日本が好き、でも、正直言って『天皇陛下』とか、『皇室』とか、『国体』とか・・・何だか遠い存在だったり難しいことのようでよく分からない・・・」

 このシリーズは、そんな方々のために分かりやすく、保守思想の根幹から理解して頂けるようにお話していこうと思っています。

 中学校までに習ったレベルの、『日本国憲法』、国会、内閣、裁判所、基本的人権・・・などがだいたい頭に浮かんでくる方であれば、このシリーズを初めから読んでいけば、最後には保守思想というものがよく理解でき、「左翼のウソ」など簡単に看破できるようになります。

 ぜひ最後までおつき合い下さい。

 こちらの方は不定期連載となります。『大日本帝国憲法入門』は従来通り週1~2回程度の連載です。これからもよろしくお願いいたします。

 


<保守思想って何? (1)>


 皆さんは、保守とか、保守思想という言葉を聞かれたことはあると思います。政治家の誰々は保守だとか、そうでないとか、などというように使いますが、そもそも保守とは、何を保守するのでしょうか?一体保守思想とは、何なのでしょう?

 このシリーズでは、保守思想とは何か、優れた先人の方々の業績に学びつつ、所々私の考えもつけ加えながらできるだけ分かりやすく書いていきたいと思います。




 少し、想像してみて下さい。

 ルールがある国と、ルールのない国があるとします。どちらに住みたいでしょうか?

 ほとんどの方は、ルールのある国に住みたいと思うでしょう。では、それは、なぜでしょうか?

 もちろん当然のことですが、人を殺しても構わない、人の物を盗んでも構わない、そんな国に住むのは嫌ですね。

 ルールというものは、私たちの行動を規制しますが、一方では私たちの生命や財産などを守ってくれるものでもあるのです。

 ルールのために、ある程度の自由は制限されますが、そのおかげで私たちは逆に殺されない、物を盗まれない、などという自由を保障されるのです。

 では、更に考えてみましょう。

 そんなルールは、どのようにして作ればいいのでしょうか? いや、例えば、「人を殺してはいけない」「他人の物を盗んではいけない」などというルールは、誰が作ったのでしょうか?

 面白いことに、重要な役割を果たしているルールには、誰が、いつ、どうやって作ったか、などが分からないものが少なくないのです。

 家族というものは、誰かが始めたのでしょうか? 国家というものは、誰かがその仕組みを考案して作ったのでしょうか?

 このような人間にとって基本的な要素をなすものは、誰か特定の偉い人や、集団が作った、というわけではありません。

 家族とか、国家とか、このようなものは誰か英雄が現れて仕組みを全て考えだしたのではなく、誰が始めたものでも、考えだしたものでもなく、無数の人々の営みの中で長い年月の間に生成されていったものなのです。

 そして、これは、先ほど挙げた「人を殺してはいけない」「他人の物を盗んではいけない」などというルールにも言えることだと、気づきますね。

 このようなルールは、誰が決めたのか分かっていません。しかし、そんな誰が作ったか分からないようなルールこそ、長く続き、みんなの暮らしを守っています

 よく、ルールを決める時には、「話し合いが大切だ、誰にでも納得できるちゃんとした説明が大切だ」などと言われることがあります。

 確かに、そんな場合もあります。でも、「人を殺してはいけない」「物を盗んではいけない」などというルールは、誰かが話し合いで決めたのでしょうか?誰かが、誰にでも納得できる説明をして決めたのでしょうか?

 全くそうではありませんね。話し合いで決めたわけでも、誰かが納得できる説明をしたわけでもありません。しかし、これらは何千年もの間、廃止されたり、変更されることすらなく、人々の暮らしを守ってきました。

 それに比べて、「誰か特定の人が決めたルールや命令」や「話し合い」や「納得できる説明」などで決められたルールはどうでしょうか?これから少しずつお話ししていきますが、このようなルールは、決められたその時は通用するかのように思われるのですが、年月が経つにつれて、うまくいかなくなることが多いのです。

 現代でも、法律の改正など日常茶飯事のように行われていますね。国会という場で、話し合いもされ、一応は納得のいくような説明がされているのにも関わらず、それらはどんどん変更されていくのです。

 でも、そんなに軽々しく変えられていくものに、果たして重大な価値があるといえるのでしょうか?

 もちろん、法律を守らなくてもいいなどと言うわけではありません。国家の法規範(ルール)は守っていかねばなりません。

 しかし、今までのお話で、同じ法規範の中でも、このように二種類に分かれていることをお気づきになったと思います。

 すなわち、法規範は大きく二種類に分かれているのです。これが今日のポイントですので、しっかり覚えて下さい。


 1.誰が決めたか分からず、話し合いもされず、誰にでも納得のいくような説明さえもされていないのに、何百年、何千年もの間変更も廃止もされず、守られているもの。(例:「人を殺してはならない」など)

 2.誰が決めたか分かっており、あるいは話し合いがされたり、または誰にでも納得のいくような説明がされているのに、変更されたり、廃止されたりしているもの。(例:各国の国王(君主)や大統領などの命令や、国会で議決された法律など)


 さて、このように考えると、1の方が2よりも重要な、価値のある法規範だということも分かるでしょう。

 そして、1の法規範を保守思想ではといい、2の法規範を法律といいます。

 日常生活では、法も法律もほぼ同じ意味で使うことが多いですが、保守思想ではこれらを1と2のように区別します。

 また、法律は議会の議決した法規範、命令は君主や大統領などの権限により発する法規範であり、それぞれ違いますが、ここでは特に断らない限り、法律といえば、法律と命令の両方を含むものとします。



<今日のポイント>

一、 法規範は「法」と「法律」の二種類に分かれている。

二、 法は法律の上位にある。


 今日はまず、この二つをしっかり覚えて下さい。ではまた次回。(・ω・)ノ




このブログはこちらからの転載です → 『大日本帝国憲法入門』

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